贈与が非課税になる条件6つ
無償で貰ったお金であっても一般的には贈与税がかかります。
しかし、中には贈与税がかからないお金もあります。
これらは贈与税の非課税財産と呼ばれます。
非課税財産以外を110万円以上贈与する場合は課税対象になるので注意が必要です。
そこで今回は非課税財産についてご紹介します。
1.法人からの贈与
贈与というと、個人から個人へのお金の譲渡を連想する人が多いです。
実際、一般的にはそのケースの贈与が最も多いです。
しかし、最近は法人から個人への財産譲渡が行われることも少なくありません。
個人から個人への贈与と、法人から個人への贈与には大きな違いがあります。
贈与税がかかるのは、個人が個人からお金を譲り受けた場合のみです。
個人が法人から贈与されたのであれば、いくら多額の贈与を受けたとしても課税対象にはならないのです。
ただし、法人から贈与を受ける際に、注意しなければならない点があります。
それは、法人から貰ったお金は一時所得の扱いになるということです。
そのため、所得税の課税対象になるのです。
しかし、一時所得の場合は50万円までは非課税なので、それ以下であれば実質的には非課税で贈与を受けたことになります。
2.扶養義務者間での贈与
子供を扶養する親は、生活や学費等を子供に与えても非課税になります。
生活費や教育費を扶養義務者間で贈与する場合は、課税対象にならないのです。
この「扶養」は税制上の扶養とは少し異なります。
民法には、夫婦や親子は相互に扶養しあって生活しているという考えがあります。
ここでいう「扶養」とはその考え方に基づくものです。
つまり、税制上や社会保険上は夫の扶養に入っている妻であっても、夫と相互に扶養し合っていると見なされます。
そのため、例え、専業主婦であっても夫と扶養し合っている事になり、夫婦間での生活費と教育費の贈与は非課税になります。
生活費とは日常生活を行うにあたり必要な費用です。
教育費とは義務教育の学費はもちろん、大学入学金や教材費なども含みます。
しかし、注意しなければならない事があります。
それは一度に渡す金額の大きさです。
基本的には必要になったらその都度渡すことが前提になっています。
つまり、数年分をまとめて一括で渡すと課税対象になってしまう場合があるので注意が必要です。
3.選挙活動のための贈与
一般の人にはあまり関係ないですが、選挙をするために資金を集めている人は注意が必要です。
公職選挙法が適用される公職の候補者は、選挙資金として資金を寄付されることが多々あります。
この時、選挙管理委員に届け出ておけば、後から課税されることはありません。
しかし、もし届け出るのを怠っていると、後から多額の贈与税を請求されることがあります。
そのため、選挙活動のために寄付を受けた人は、すぐに選挙管理委員に届け出るように注意しなければなりません。
もし届け出をせずに、贈与税の申告もしなかった場合、それが意図的なものであると見なされると罰則を受けることがあります。
4.心身障害者を扶養するための贈与
多くの自治体には、心身障害者の生活を支援するためのお金を給付する制度が存在します。
この給付金の贈与は基本的には非課税です。
給付金は利益になるものではなく、生活を送るために必須と考えられて与えられるお金だからです。
このお金を本来は障害者自身に給付されるものですが、心身の障害を患っている場合、自分でお金を使ったり、管理することができないケースが多々あります。
そのような場合、その障害者の扶養者や世話をしている人が給付金を管理した方が効率的ですし、セキュリティの面でも安心できます。
そのため、心身障害者を扶養するための給付金は贈与を行っても、便宜上非課税であるとされています。
6.冠婚葬祭費のための贈与
結婚式ではご祝儀として多くのお金を色々な人から貰うことになります。
また、お葬式でも香典としてお金を受け取ります。
時には非常に多きな額になり、110万円を超えることも珍しくはありませんが、あくまでもご祝儀や香典としての名目で貰ったものなら課税対象にはなりません。
ここで注意しなければならないのは、ご祝儀や香典を特殊な形でもらった場合です。
例えば、ご祝儀の代わりに、車を買ってもらったり、家をリフォームしてもらったりする場合です。
そのような場合は非課税財産とはみなされなくなり、課税対象となることがあるので、事前に税務署に確認した方が良いでしょう。
贈与をするときに非課税になる場合もある
以上のように、贈与の中には課税対象にならないものがあります。
これらを正しく理解しておくと大きな節税効果を生み出すことがあります。
また、贈与税は相続税と関わりが大きいため、合わせて理解しておくと更なる節税効果を期待できます。
例えば、相続を開始する3年以内に被相続人から贈与を受けると、贈与税の課税対象になるだけでなく、相続税の課税価格にも加えられてしまうので注意が必要です。