定年後に山登りを始める際の心得。注意点を知り万全な準備をしよう

定年後に山登りを始める際の心得。注意点を知り万全な準備をしよう

十年以上前から根強く続き、今ではすっかりブームではなく一つのカルチャーとして定着した感のある登山。

山ガールなどの若い世代の登山者も増えていますが、登山人口増加の主人公となるのは定年前後の中高年層です。

ただ、中高年になり急に登山を始める場合には、若い頃から登山に慣れ親しんだ人とはまた違う、様々な注意点が存在しています。

1.最初からレベルが高い山には挑戦しない

定年後に有り余る時間を有効に使おうと登山を始める人は少なくありません。

そんな場合、本や雑誌、さらにはインターネットなどで情報を収集して、多くの人が憧れている山に登りたくなるのは仕方がないことです。

しかし、若い頃から定年を迎える年齢までずっと登山を趣味にしていたわけでもない方が、急に登山を始める場合は注意が必要です。

山の魅力や恐ろしさを知るために、手ごろな初心者でも簡単に登頂できる山からスタートするのが鉄則です。

ずっとデスクワークしかしていなくて、体力に自信がない人はまだしも、長年肉体労働をしていて足腰に自身のある人は、一足飛びに中級や上級レベルの山に挑みがちです。

山は平地とは全く別世界ということを認識し、レベルを一つずつ上げていくのが重要だと認識しましょう。

2.初心者であることを認識して謙虚になる

仕事人生を終えて定年を迎えた場合、職場ではある程度のポジションに立ち、指導的な役割に就いていた人も少なくないでしょう。

仮に役職がなくても、人間社会では年齢が上がれば上がるほど、人から注意されたり苦言を呈されたりすることは減り、本人が意識していなくても自然と意見が通る環境になってしまいます。

しかし、そういう状況で過ごせたのはあくまで「会社」という組織に属していたからです。

それに気付くこともなく、定年後も以前の感覚を引きずり「自分の判断は絶対」とか「自分の意見にNOは許せない」なんて王様のような態度をとっては絶対にいけません。

特に登山の場合は、熟練者と初心者とでは状況判断に圧倒的な差が生まれます。

上級者やガイドが示した方針に、訳の分からない感情感覚論で反論したり、一緒に行動していたグループの和を乱すような発言をすることは、登山の安全性を守るためにも絶対に慎まなくてはなりません。

極端な話、勝手な振る舞いで自分ひとりが犠牲になるなら自業自得ですが、複数人で登山する場合は、一人の勝手な行動や言動が全員を危機に陥れる可能性があることを覚えておきましょう。

3.実際の体力は1/3しかない

人間の体力というのは、どこかの時点から急激に衰えるものではありません。
年々ほんの少しずつ、逓減していくのが特徴です。

そのため、多くの人が若い頃とそれほど体力的に差がないように錯覚してしまいます。

より具体的言えば、瞬発力は落ちても持久力や力の使い方のコツが積み重なっているので、今でも十分に体力があるように思ってしまっています。

しかし、定年を迎える年齢になれば確実に体力は落ちています。

しかも、その体力は平常時ではなく限界近くになったときに最後のもうひと踏ん張りが出来ないといった、体力のなさです。

ある体力測定では60代の人の場合、自分が思っている持久力と実際に計測した持久力差が3分の1だったという結果が出ています。

登山の途中で天候が悪化したり、体力的にキツくなったときには、自分の体力を過信せずに、すぐに引き返す決断をする勇気が必要です。

4.山に着く前から登山は開始

登山というと、どうしても山や、ふもとの駅に着いてからが本番というイメージを持っている方も多いと思います。

特に電車で山まで移動する場合は、登頂にかかる時間を踏まえて朝早くから出発するケースが多くなりますが、その場合にも配慮が必要です。

登山をするにはどうしても荷物が多くなります。
最小限の荷物にとどめても、万が一の事態に備えてリュックにはパンパンの装備を入れるケースが多いことでしょう。

そんなリュックを背負ったまま、朝の通勤ラッシュの電車に平然と乗り込み迷惑な視線を向けられているのに気付かない中高年が急増しています。

「電車ではリュックは前に抱える」というのは、マナーの啓発ポスターにも書かれている基本事項ですが、中高年の方々は若者に向けた啓発としか考えず、自分たちには関係のない話しと思いがちです。

登山客の評判を落とさないためにも、山での振舞いはもちろん、その行き帰りの道中でも最低限のマナーは守りたいものです。

5.登山の予定は必ず伝えておく

中高年が登山をする場合、山登りの途中で予想外のトラブルに巻き込まれるケースは、若い人に比べて格段に高くなります。

無謀な登山計画を立てていなくても、天候の急変で体力を奪われ動けなくなったり、急病になり動けなくなるなど様々なケースが想定されます。

登山に出かけるときには、ご家族や親類、友人でもかまいませんので必ず「いつ、どこの山に登る予定で、いつごろ帰ってくる予定か」を伝えておきましょう。

さらに、下山予定から一定時間過ぎても連絡がない場合は関係機関に通報して欲しいとお願いしておくのも、リスクマネジメントの観点から重要です。

とにかく、誰も予定を知らないまま山に挑むのだけは絶対に避けましょう。

60代からの登山は万全な状態で臨もう

山登りの魅力は、登山道で見る様々な動植物、そして頂上から見る何もさえぎるもののない絶景です。

辛く苦しい道のりでも、一歩進めれば確実に頂にむかって進んで行く実感は、まるでこれまで歩んできた人生を再体験しているかのような素晴らしさがあります。

だからこそ、安全性には十分に配慮して、万全の状態で登山を楽しみましょう。