死後に起きやすい相続トラブル5つ

死後に起きやすい相続トラブル5つ

お昼の情報番組でも、相続トラブルは一つの定番としてよく放映されます。 でも「そうは言っても他人事」と思っていては大変。 実は相続トラブルは他所のことではなく、あなたの身に起こってもおかしくない身近な問題です。 そこで、死後に起きやすい相続トラブルについてご紹介します。

1.持ち家があるだけでも大きなトラブルに

「そんな大金持ちや資産家のトコが相続問題とか揉めるもんでしょ?2時間サスペンスじゃあるまいし」と思っていては一大事です。 最新のデータでは話し合いで片がつかず、弁護士が介入したり裁判沙汰になったりするケースの半数以上が、総遺産額が1,000万から5,000万円の範囲内とも言われています。 持ち家などの不動産や有価証券、保険などをあわせたらちょうどその範囲内という人は案外多いのではないでしょうか。

2.片方だけが親の面倒見ている場合の相続トラブル

それではどういったケースで争いに発展してしまうかといえば、よくあるのが「心積もり」の見積もり違いです。 例えば、兄と妹の2人兄妹で兄は就職を機に地元を離れ、そのまま遠方で結婚し一家を構えており、妹は実家近くに嫁ぎ、実家の両親が年老いてからは同居までは婚家の手前していなくても、何くれとなく両親の面倒をみてきた、というケース。 こういったケースでは妹さんや妹さん一家の心積もりでは「実家の両親の老後の面倒を見ているのは私たちなのだから、両親の残す遺産は自分たちが全て相続すべきだ」ということになりがちです。 その場合兄夫婦も自分たちが面倒を見れない分、妹たちに遺産を譲ろうと思ってくれれば争いは生じません。 しかし、兄夫婦たちの「心積もり」では「介護は介護、相続は相続」となっていたり、「自分たちが本来受け取るべき遺産のうちから多少は(妹夫婦に)譲ってもいいが全てというのは話が違う」となっていたりしたら、いざ相続となったときにトラブルが起きてしまいます。

3.遺言状以外は正式なものではない

相続の割合は法定相続の割合で分けるものです。 しかし、特定の家族に厚遇してやりたい気持ちが遺産を残す立場の人にある場合は、きちんと法的に効力のある遺言状を作成しておかないと、遺産を残した人の本意とはまるでかけ離れた結果になってしまうことも考えられます。 いざ相続のときになって「故人は生前○○しろと言っていた」とか「かねがね故人は○○だからと言っていた」といくら言ったところで、口約束は所詮口約束。 死人に口なしだと言われてしまえばお終いですし、実際法的効力がない以上裁判で争ってもかなり難しくなってしまいます。 ビデオレターやメールもだめです。 本人の遺志を本当に尊重したいのであれば、面倒だとか縁起でもないとか言わずに、早めにきちんとした公式な遺言書を作成しておくべきかもしれません。

4.離婚した相手との子供にも相続権がある

離婚、再婚が珍しくなくなった現代では、自分の父母に今の結婚以前にもうけた子供がいても、不思議ではなくなりました。 父母の生前からそうした異父あるいは異母兄弟姉妹たちと面識がある、というのであればまだ話は早いかもしれません。 しかしいざ葬儀や相続のときになってその存在がクローズアップされるということも。 そうなった場合、例えば前妻や前夫の実家の場所がわかり、かつその場所に変わらず係累が暮らしていれば連絡もつけやすいでしょう。 しかしそうではない場合は、まず遺産相続人の一人となる前妻前夫との子どもの所在から確認しなくてはいけなくなり、大変です。 また、こうしたケースは年老いた夫婦の相続の場合のみに起こりうるというものでもありません。 自分の息子や娘が離婚しており、その際子供をもうけていたけれど他界してしまっていた場合は、祖父母にあたる故人の両親が孫を探さなくてはいけない、ということもありえます。 そうした場合は、若い分転居や転職していることも多いため、案外行方を捜すのが困難だということも。

5.相続財産は負の遺産ということも

相続問題で分けるモノが、正の遺産ならまだ良いほうかもしれません。 遺産は遺産でも負の遺産ということもありうるのです。 例えば、故人が残した遺産が不動産と多少の預貯金であったとしても、実は相続人たちの知らない借金や負債がたくさんあって、負の遺産の総額から正の遺産の総額を引くとマイナスでしかないということが現実にありえるのです。 そうした恐れがあるときは、一刻も早く相続放棄の手続きをとらなくてはいけません。 相続放棄には3ヶ月という期限があるからです。

亡くなる前に相続について話し合っておこう

相続問題というとどうしても骨肉の争い、と連想しがちです。 実際問題、それまでは円満だった家族や親族間が相続の問題を機にぎくしゃくした、とか犬猿の仲になったというのは残念ながらよくある話です。 そうした故人が一番悲しむ事態を避けるためにも、「相続問題なんて他人事」と思わず、一度きちんと皆で話し合う機会を設けるようにしておくことが、相続問題の争いを避けるための第一歩ではないでしょうか。