親の介護費用はどの位かかるの?初期費用から月額かかる料金まで
親の介護はいつかしなくてはいけないと思っていても、日常に追われて介護の準備はできないものです。
しかし、その時になってお金のことで困ったら、と漠然とした不安もあるでしょう。
そこで親の介護費用はどの位かかるのか、その目安の金額相場をご紹介します。
1.ベッドなど介護用品の一時的費用は60万円くらい
在宅介護をするには介護アイテムを購入する必要があり、初期費用を負担することになります。
介護用ベッドは特殊寝台なので、安くても15万円くらいはします。
寝室にポータブルトイレを設置するなら、水洗式でシャワー付きの場合11万円くらいがかかるでしょう。
車いすはシンプルで自走式を選ぶと4万円くらい、自宅に手すりの設置をするなら1か所1万円くらいとしても階段・玄関・廊下などに必要となるため、10万円くらいかかる場合もあります。
体力のある男性でも高齢者をお風呂に入れるのは大変で、お互いにケガの恐れがあるので浴室リフトを設置すると20万円前後になるでしょう。
大まかなものだけですが、初期費用として60万円はかかると考えておいた方が良いです。
親の部屋が2階以上にあれば階段昇降機も必要で、さらに50万円以上の費用が掛かります。
2.おむつや体のケアには4万円くらい
ベッドなどの他にも、日用品や衣料品ジャンルの介護費用がかかります。
排泄トラブルがあればおむつを使いますし、食事介助をするには専用の食事エプロン、お箸・スプーンなどお必要です。
おむつは価格帯がバラバラですが、小柄な人向けのおむつで1日2枚使用するとしたら5,000円くらいかかります。
誤嚥性肺炎の予防には食事が飲み込みやすい、とろみをつけられる構成食品もあると便利でしょう。
お箸・スプーンで約4,000円、食事エプロンは約2,000円、とろみをつける調整食品は50回分で1,500円くらいとして用意するなら少なくとも7,500円はかかります。
ベッドで寝る時間が増えると床ずれ防止マットが10,000円程度、ダイニングに移動して食事ができなくなると必要なベッドサイドテーブルは15,000円程度になります。
この2つでも合計して25,000円となります。
消耗品も含めて一時的な費用を計算するなら、合計で37,500円の費用です。
3.在宅介護サービス利用で13万円程度
自宅に来てもらって訪問介護を受けることもできますが、要介護度が高くなるほど費用が負担になる調査結果が出ています。
認知症なしの要介護1以下で1か月21,000円程度なのに対して、要介護度4や5で重症度が高いと1か月に約13万円が必要となり、10万円以上の差がつきます。
介護認定を受けて居宅介護のサービスを利用しますが、それぞれの介護度に合わせて1か月の利用上限額が設定されています。
要介護5なら利用額は36万650円まで利用可能で自己負担額は36,065円です。
この上限を超えた場合は払い戻しなどの制度があります。
後で払い戻しがあっても先に支払いを求められるケースが多いので、一時的に介護者が負担することになるでしょう。
4.介護施設に通所する費用は2万円程度
通所サービスを利用しながら介護をすることもできますので、デイケアやショートステイの費用も把握しておきましょう。
1日に6時間までを限度として預かってくれて、リハビリもできるデイケアは、利用者負担額の目安で724円となっています。
要介護度などで変動しますのでケアマネージャーと相談しましょう。
仮にデイケアに週3日、1か月で12日間通ったとしたら、その費用は8,688円です。
さらに介護者の体調不良や介護疲れの休息に、ショートステイサービスを利用するとしたら1日利用で863円となります。
1か月に4回利用すると3,452円になります。
デイケアとショートステイの組み合わせを以上の例で使用すると12,085円ですが、別途食事費用が加算されることもありますので2万円程度を考えておくと良いでしょう。
リハビリを伴わないデイサービスなら1日6時間預かって食事・入浴介助もしてくれます。
平日に5日間利用したとすると、1か月の費用が要介護1の方で16,580円になります。
5.老人ホームを検討すると数千万円
かなり大きな金額が出ましたが、数千万円必要になる可能性があるのは有料老人ホームのジャンルだけでしょう。
月額利用料よりも入居一時金の高さで知られています。
民間の老人ホームならグループホームやサービス付き高齢者住宅で、月額利用料が最大でも25万円程度になるでしょう。
そして公的な老人ホームなら負担が少なくなり、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護療養型医療施設は最大でも17万円程度の月額費用です。
ただし、公的な老人ホームでも例外になるのがケアハウスと呼ばれるジャンルです。
入居金は数百万円求められる施設もありますので、月額利用料の最大で20万円くらいなのも考えると、有料ホームレベルだと考えて良いでしょう。
月額費用が最も低いところと言われる特別養護老人ホームは7万円くらいから利用できるので人気です。
しかし、利用希望者が多く、入居待ちの高齢者50万人を超えたというデータもあります。
6.親の資金を把握することも大事
ご紹介したように親の介護をするための費用は日用品まで考えると、総額でかなりの額になることがわかります。
早めに親の資産状況を理解して、その中で介護ができるのかを検討することをオススメします。
また、新聞などでも発表がある通り、介護離職をする人が年間に10万人程度いると言われますので、親の介護をしながら、ご自分の生活を維持していけるのかも見直した方が良いでしょう。
認知症で徘徊の症状が出たり寝たきりになると、24時間365日親の側にいなくてはいけない状況も考えられます。
介護者の負担にならないため、公的なサービスも取り入れた介護を計画してはいかがでしょうか?
親の介護費用の概算を知っておこう
基本的に必要なものをご紹介しましたが、ほかにも着脱が簡単なパジャマや転倒しにくい靴など日常の介護を楽にする介護用品はたくさんあります。
おむつや尿取りパッドも消耗品として費用負担しますが、医療費として控除などの対象になる場合もあります。
公的な補助も検討しながら、介護費用について話し合ってみましょう。