お墓はいらないと考える人の心理とは。死生観やライフスタイルの変化が大きい

お墓はいらないと考える人の心理とは。死生観やライフスタイルの変化が大きい

最近、お墓を解体・撤去するなどして処分してしまう、「墓じまい」をされる方が急増しているそうです。

かつては、子供が一人前になったら代々のお墓を親から引き継いで、お盆や法事などで、親族一同会してのお墓参り、そして毎月の「月参り」にはお坊さんを呼んで読経してもらいお布施を渡す・・・
こういった風習が日本人としては当たり前でしたが、現在では都会を中心に廃れている現状です。

では、こういった「お墓はもういらない」と考える人たちの心理にはどういったものがあるのでしょうか。

1.お墓を守る人がいない

少子高齢化の現在、自分たちが亡くなった後もお墓を維持・管理してくれる子供がいない、いても跡を継いでくれない、もしくは自分の子供たちに負担を掛けたくないとの理由で、先祖代々のお墓を処分する人が多くなっています。

参ってくれる人がいないお墓は無縁墓となってしまい、寂しいまま放置されてしまいます。

ではいっそのこと、自分達の代でお墓を処分する、という選択をする人が多くなったと思われます。

2.ライフスタイルの変化

田舎ではまだまだ家族や親族総出の法事やお墓参りなどの弔事は一般的ですが、都会を中心に、そのようなことは古臭いと思う人が増えてきています。

核家族化が進んだ現代で、年に数回でも親戚一同が集まってのイベント事が億劫だ、また、弔事の度にお布施など金銭的な負担が発生することにも納得いかない、と考えている人が増えてきています。

そのような弔事の拠りどころが仏壇でありお墓であることから、そもそも「お墓なんて必要なの?」と考え直す人が増えてきたのだと考えられます。

3.宗教観の変化

日本の檀家制度は江戸時代から遡り、一般家庭ではお寺さんと檀家の、半ば強制的な関係が何百年間も当たり前のように続いてきましたが、そういった、「当たり前の風習」に疑問を抱く人が、若い人を中心に増えてきたと考えられます。

日本においては仏教以外の宗教を信ずる人も、多くは仏式のお墓に入ることが当たり前でしたが、本来は仏教徒でも何でもないのに、古い檀家制度に従って日本式のお墓に入って、お寺さんに多くのお布施をすることはおかしくないか?といった、長らくの思考停止状態から抜け出した人が現代では多くなったといえます。

4.死生観の変化

人は亡くなってからは死後の世界に旅立ち、自分たちの子孫を永遠に見守り続けてくれている。

なので、自分たちを生み育ててくれたご先祖様をお墓にお迎えして感謝の気持ちを捧げる。

これが、かつての一般的な日本人のメンタルでした。

しかし現代では、そもそも人間に関わらず、生物一般は生命が終わった時点で一個の肉塊になるだけで、有機物から無機物に変化するのみである。

死後の世界などなく、生物は死んだらその時点で、存在は永遠に消え去ってしまう、といった考えを持つ人が増えてきました。

なので当然、死者、ご先祖様の拠りどころとなるお墓の存在価値にも疑問を持ち始めています。

5.合理的な観点から

慶事にはとにかく、不合理な費用が掛かります。

お葬式を執り行なう場合の費用など、葬儀会社の都合で値付けされているサービス費用の高さは、冷静に考えたら、原価に対してあまりに利益率が高すぎる設定になっていると多くの人たちが気付き始めました。

最近では、適正価格の葬儀費用を提示する業者も多くなっていますし、そもそも大掛かりな葬儀ではなく、家族葬や密葬、果ては直葬を選択する人も増えてきました。

また、毎月お寺さんからお坊さんに訪問してもらって、仏壇に読経してもらい、数千円のお布施を渡す。

このような風習を合理的でないとの観点から、やめてしまった家庭も多いと思います。

そしてわざわざ管理費を払ってまでお墓を維持していくことに合理的な理由を見出せなくなった人も当然、多くなってきました。

6.長引く不況の影響

新たにお墓を建てるには、意外と多くの費用が掛かってしまいます。

墓地の取得には固定資産税などの税金はかかりませんが、墓石の料金、永代使用料、管理料などで、200万円から500万円は掛かってしまいます。

バブル崩壊以降、慢性的な経済不況が続く中で、新たにお墓を建てるのをためらう人が急増するのは当たり前と言えるでしょう。

また田舎には古い墓があるが、老齢になったらお墓参りに行くのも大変になってしまうため、自宅近くに移転したいと思っても、お墓の移転にも通常、100万円から300万円は掛かってしまいます。

古いお墓から魂を抜く閉眼法要、そして新しいお墓に魂を入れる開眼法要の際は、それぞれお布施が10万円程度も必要になります。

お墓にまで費用を掛けられないと思う人は、これから減ることはないでしょう。

お墓がいらないという人は年々増加予想

一昔前の日本の一般家庭には必ず存在した「神棚」と「仏壇」。

現代では、これらが揃っている家庭を見つけることは極めて困難になっている状況です。

それでも「お墓」だけは、少なくなった親族や家族を結びつける唯一のツールとして現代でも多く残っていますが、近い将来には、「お墓」を所有して、家族でお参りに行く風習も、激減していくことは止められないと思われます。

「お墓はもういらない」と考える人の割合がますます増加していくことでしょう。